2012.8.21 宮崎日日新聞 絵本出版にむけて 副作用と闘いながら構成考える


治療は赤い色の抗がん剤・ファルモルビシンで、3週間に1回の投薬でした。食べ物の味が変わる、奇妙な味がする。毎日、食べるのが恐怖だった私に、ある日突然変化が。

朝ご飯はオムレツがしょっぱかったので、晩ご飯は唐揚げを少しつまみました。おそるおそる、ゆっくりかむと「おいしい!」。別の料理もおいしい! 水もおいしい! 3週間が過ぎると味覚障害はなくなりました。味覚が戻ったことに、家族もうれしそうでした。

ここまでの体験を早速、原稿に書き留め、絵本「ア子さんのリボン」として出版することにしました。抗がん剤の治療は7カ月間続きます。投薬後の3週間は、また同じ副作用の繰り返しです。次の投薬までのわずかな時間に、鉱脈社専務の川口道子さんと絵本の構成を考えました。

投薬が始まると、日中は副作用で光がまぶしいので、ずっとカーテンを閉めて原稿を考え、3週間は副作用という「嵐」が去るのを待ちました。

(宮崎市・AKOバンダナショップ 藤野ア子)