副作用についての絵本を出版するため、味覚障害など、この時期でなければ書けないことを書き留めました。
食べて味がしないストレスで、せんべいやケーキ、激辛スナックなど刺激の強いものが食べたくなり、水も変な味がして飲めなくなりました。料理の本を見ていると、とてもおいしそうに見え、ずっと読んでいました。
味覚障害の次に表れたのは嗅覚障害です。窓を開けると排気ガスのにおいをきつく感じる。肉や魚を調理するにおいが気になり、食欲がわかない。蚊取り線香のにおいが気にかかる。家中のにおいが気になり始めました。
そんな私に、妹が消臭剤を買ってきてくれたり、母に「リンゴだけは食べられる」と話すと、山形からリンゴ1箱を取り寄せてくれたり。母や妹の優しさに感謝する日々でした。社会人になり、バタバタと毎日を過ごしてきた日々。治療のため、自宅療養を余儀なくされて、私はゆっくりと家族と向き合う時間を与えられたのです。
(宮崎市・AKOバンダナショップ 藤野ア子)