乳がんになった患者さんの前向きな生き方~ウイッグサロン Welina鹿児島 園田順子さん


私が乳がんを初めて発症したのは1999年、30歳の時でした。左乳房全摘手術を受け、抗がん剤とホルモン治療を終え10年が経過した2009年、40歳の時・・・今度は右乳房に乳がんが見つかり、温存手術と抗がん剤、放射線治療を受けました。

『抗がん剤治療』と聞いた時・・・一番の心配は『髪が抜ける』という事でした。仕事にも復帰するつもりでしたし、オシャレには気を遣っていました。ウィッグを着ける生活・・・というのが想像もつかなかったのです。病院で勧められた医療用ウィッグは安くても十数万円・・・治療費もかさむのに、とても家族にそんな高額なものが欲しいなんて言えませんでした。

結局、街のファッションウィッグ屋さんで安価な物も購入・・・でも既製品なので当たり前ですが、前髪が長すぎるとか・・・なんか不自然。自分でカットしたり上から帽子をかぶってごまかしたりして過ごしました。

治療が終わると今迄の自毛とはまったく違ったクルクルの毛が生えてきて、それが伸びっぱなしになるのでウィッグを卒業したくてもそのオバちゃんパーマ状態の髪をオシャレな美容室で切ってもらうのがとても恥ずかしかった・・・。

そして思いました・・・・。ウィッグサロンと言われる所には高価なウィッグしか売ってない。カジュアルなウィッグ屋さんには安価なウィッグしか売ってない・・・。素人には高い物と安い物のどこがどう違うのかすら分からない・・・。両方置いてあり、違いは何なのか分かった上で選べるお店があればいいのに・・・。出来れば生えてきた自毛のカットもしてくれるような患者さんウェルカムなお店・・・。

そんな思いで知人の協力もあり、ウィッグサロン Welina 鹿児島を形にすることができました。来店される方の6割は、がん患者さん。3割が脱毛症の方、1割がオシャレ目的・・・といったところでしょうか。
美容師でない私は、まずカウンセリングで病気の事や治療の状態をお聞きし、今から抗がん剤・・・という方には点滴後、どのくらいで脱毛が始まるのか、治療後どのくらいでウィッグが外せるまで伸びるのか、生えてくる髪はどんな状態で生えてくるのかをご説明し、ウィッグには色んな種類があること(数千円から何十万という値段の違いは何なのか)や各メーカーの特色、安いウィッグが必ずしもダメな訳ではなく逆に高いウィッグだから必ず満足できるものでもない事・・・色んなお話をします。

ウィッグが決まりカットになったら美容師スタッフの出番です。スタッフは家族が『がん』になった経験があるので家族の立場からの話もします。予約制、個室という事もあり安心できると口コミで評判を聞いて予約して下さる方がほとんどです。『脱毛期から自毛デビューまでトータルサポート』をコンセプトに店作りをしていますが、課題は沢山あります。ウィッグは単に脱毛を隠す為の道具ではありません。脱毛されている方にとっては自分の一部であり、前を向こうとする背中を押してくれるもの。それが分かっている私だからこそ出来る事をもっと追求していきたい・・・そう思います。


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