2012.9.11  宮崎日日新聞 大学や高校での講演会スタート 学生の心に響いた話


 抗がん剤治療が終了して8カ月後、高校や大学から講演依頼がありました。宮崎北高では医師や看護師を目指す学生と保護者を前に、乳がんを通しての社会復帰について話し、また南九州短大では、英訳をしてくださったダッチャー博士と私の絵本「ア子さんのリボン」の読み聞かせをしました。

講演中はかつらをかぶりました。数百人の前でかつらをかぶったまま話すのは精神的に疲れましたが、「この中に乳がんの家族を持つ学生がいるかも…」そう思うと勇気がわきました。

宮崎大より依頼を受け、看護学科の学生やがんを研究する大学院生、がん患者の社会復帰を研究する教授など約300人を前に講演をした時のことです。ある学生から話しかけられました。彼女の母親は乳がん経験者でした。私の話を聞き、「治療中の母にもっと優しくすればよかった。副作用の話を聞いて、母のことがよく分かった。帰ったら謝ります」。学生の顔は決意に満ちていました。(宮崎市・AKOバンダナショップ 藤野ア子)