2012.6.5 宮崎日日新聞 家族・黙ってずっとそばにいて


私のバンダナショップには、乳がんを告知された方の家族がよく相談に来られます。「娘に何と声を掛けたらいいのか?」。私は「何も言わなくてもいいですよ。黙ってずっと傍にいてあげてください。娘さんのそばで新聞を読んだり、テレビを見たりしていてください。それでいいんですよ」と答えます。

告知を受けてからの家族の態度は、思っていた以上に冷静でした。いや、家族全員がそう振る舞っていたのかもしれません。手術までの日々は「静か」、そんな印象でした。静かゆえに、いま思うと、あの時、家族の誰もが泣いていたのかもしれません。

私を刺激しないようにと、いつもと変わらぬ様子で手術の日までそっとしていてくれました。「おはよう!」と父は話し掛けてくれ、母や妹は得意の手料理を作り、そんな優しさが不安定な私の心を包み込みました。誰かがそばにいてくれる。安心感が、居心地のよさに変わりました。家族って、こんなに温かい!(宮崎市・AKOバンダナショップ 藤野ア子)