2012.5.29 宮崎日日新聞 「告知」
「告知を受けたときの心境は?」と聞かれると、私はいつもこう答えます。「これでやっと生きる目標(がんと向き合うこと)ができました」。それまでの私は、まるで合格発表を待っているようにハラハラドキドキの毎日を過ごしていました。早く白黒はっきりしてほしい。だから、告知を受けた瞬間はショックというよりも「やっと楽になれた」そんなホッとした気持ちでした。
しかし、家に帰ると「なぜ乳がんのことをもっと身近に考えていなかったんだろう?」生活の中に「乳がん」の存在が全くなかった私の人生をとてもとても後悔しました。同時に乳がんを生活の中に取り入れている社会環境が自分の周りにはないことにも気付きました。「どうして? どうしよう? 私は死ぬのだろうか」同じことを考えて、気が付くと部屋は真っ暗でした。パチン!と母が電気を付けてくれました。
翌日から入院日や手術日を決めたり、仕事の調整をしたりと大忙し。感傷に浸る暇もありませんでした。(宮崎市・AKOバンダナショップ 藤野ア子)