抗がん剤治療が終わると、ホルモン療法が始まりました。
倦怠感、頭痛、肩凝りなど、毎日重い症状が続き、何もやる気が出なくなりました。副作用は人によって違います。私の場合、副作用の軽い薬を見つけるまでに3年かかりました。
日々、体調や気分の違う私に、家族も疲れていました。治療をやめれば気分がよくなるので、投薬をやめたい―。泣きながら食事をしていた私に、母は一緒に泣いてくれました。つらいのは私だけではない。分かってはいても、どこにもぶつけられない気持ちにイライラしていました。
そんな時、宮崎日日新聞の「みやざき歌の窓」に、母の短歌が載りました。
「ホルモン療法止むれば元気になると言ふ聞こえぬふりしてとろろ汁つくる」
普段は黙って炊事をしていた母のつらさが、面と向かって話されるより心にズシンときました。母の心の叫びに涙が止まらず「もう泣き言は言うまい」と決意しました。
(宮崎市・AKOバンダナショップ 藤野ア子)