2012.6.26 宮崎日日新聞 絵本を作りたい


食堂では、毎日泣いたり笑ったり。退院する人への励まし、入院した人への応援。乳がんの告知を家族に伝えた人、近所には黙っている人など、それぞれの感情を言葉にして過ごしました。

ある人が「小学2年生の息子に、抗がん剤の副作用で脱毛していく姿を、何の病気と伝えていいのか分からない」。この言葉を聞いたとき、私が絵画教室で子どもたちに絵を教えている姿を思い出しました。「そうだ! 絵本を描こう」きれいで単純で分かりやすく、読みやすい本。そんな乳がんの絵本があったらいいな。

手術前日、不安な気持ちが抑えきれず、談話室にある本を読みましたが、明るく楽しいきれいな乳がんの本はありませんでした。病室に飾った自分の絵を見て、私は元気をもらってる。その絵を使って、絵本を作りたい。自分を表現することが、芸術家の使命。同じ病で闘っている人たちの代表になろう! そう決意すると、心の底から熱い力がこみ上げてきました。(宮崎市・AKOバンダナショップ 藤野ア子)