2012.6.19 宮崎日日新聞 私の絵


入院して、朝、目覚めると目の前には、色あせて日焼けした絵が飾ってありました。その絵を見るたび、私の命もこの絵のように消えて無くなる感じがしました。私は画家です。このように受け身で誰かの絵を鑑賞したのは初めてでした。

「このままでは、気持ちも体もダメになる!」父に、私の絵を病室に持ってきてもらいました。日焼けした絵がまるで切除した乳がん細胞で、私の絵が新しい命を吹き込んだ、そんな感覚になり、ふつふつと力がみなぎってきました。

よく、私の絵をコレクションされた方に「あなたの絵を見てると生命力がわいてくる! とても前向きになれる」そう言われていた意味がやっと分かりました。色彩の持つエネルギーのすばらしさ、躍動感あふれる構図。手術で疲れていた私の体を応援してくれました。こんなに1日中、自分の絵と対面したのは初めて。3歳から絵を教えてくれた父に感謝。あのころの元気な気持ちに、もう一度なりたい!(宮崎市・AKOバンダナショップ 藤野ア子)